お茶を淹れるとき、手にする道具たちにはそれぞれの物語があります。
湯を注ぎ、香りが立ちのぼるその瞬間に、道具と自分との呼吸がそっと重なるように感じます。
今回は、私が日々のお茶時間に愛用している茶器のご紹介。
鉄瓶
まずは、鉄瓶です。鉄瓶は、1902年(明治35年)創業の『岩鋳(いわちゅう)』の鉄瓶兼用急須 5型新アラレ。
容量は650ml。サイズはW160、D140、H145。鉄瓶だけど茶漉しも付属しているため急須としても使用することができるのがポイント。容量が少ないと感じる時もあるけど、日々1~2人分のお茶用の湯を沸かすにはちょうどよい。棚の上にサッとおいておける、いいサイズ感。

以前の記事でも触れましたが、湯を沸かすたびに少しずつ艶を増していきます。
季節を重ねながら道具が育っていく、その時間の長さがとても好きです。

急須、杯
つぎは、急須と杯。
以前、ご紹介した『想奏Sou + Sou』にて購入した陶芸家・山崎さおりさんの急須と杯。
手のひらにすっと馴染む土の質感と、湯気が立ちのぼる口縁の薄さがとても心地よく、
この二つが私のお茶時間の原点のような存在になってます。


透明急須
もう一つの急須。最近は、あまり使用する機会は少なくなりましたが、煎茶堂東京の透明急須も使っています。

飽和ポリエステル樹脂(トライタン) を成形された急須は、割れる心配もなく、とにかく手軽に使えてミニマル。
透明なので茶葉が湯の中でゆっくりと開いていく様子を見ることもできて、やはり楽しい。
この急須を通して、お茶のハードルが下がったのと、「見る」お茶の楽しさを教えてもらいました。

茶海
ひとつあると便利な茶海(ちゃかい)。
煎茶を始めてから知った道具で、急須で抽出したお茶の濃さを均一にする茶器です。湯冷ましとしても使えるし、茶海にそのまま茶葉を入れて抽出することもできる万能な道具。
蔵前の【norm tea house】で購入した茶海を愛用しています。背の高い茶海なので熱いお茶やお湯を入れても、上の方を持てば熱くなく、タンブラーに足と口ばしのついた、なんだか愛嬌のあるカタチです。


ツヤっとした質感、なんとなく柔らかさを感じる形状、縁や注ぎ口の美しさがいい。
計量・計測系器具、その他
湯の容量と温度を測るようにしています。
容量を測るのに使っているのが、ハリオのビーカーサーバー。
理科室のような佇まいを持ち、300mlという実用的なサイズです。少し実験をしているような気分になるのも楽しいところです。
料理用温度計はKEYUCAのサーモメータ―。
一般的に熱湯を一回容器に移し変えると温度が10℃程度下がると言われています。80℃くらいで淹れたければ2回ほど移し変えればよいですが、湯量によってバラツキがあるため、まだまだ初心者の私は、結構測ります。湯の入った容器に触れたら大体、湯の温度が分かるようになるまでは、測り続けようかなと。
茶さじは、数年前に職場の方がクルミの木で製作し、贈ってくださったもの。
小ぶりながら手に吸い付くような滑らかさがあり、使うたびにその方の手仕事を思い出します。


長さと先端の形状が、お茶のパッケージから茶葉を掬うときに非常に使いやすい。一般的な茶さじ(短くて先端が丸く、トラベル用の靴べらみたいなやつ)よりも断然使いやすい。
料理用温度計と茶さじは、日々の煎茶時間に欠かせない道具です。
数字と感覚、その両方を行き来しながらお茶と向き合う時間が、私にとって心地よく感じられます。
その他、茶こし。茶海でお茶を淹れるとき、急須から茶殻を捨てるときなど、ひとつあると便利なアイテムです。
無印良品のステンレス茶こし。これでいい。
その他 ハサミポーセリン

その他、ハサミポーセリンのボール、タンブラー、ティーポットも愛用しているアイテムです。
以前も記事にしたが、我が家の食卓には、常にハサミポーセリンの食器が並びます。

同一の直径モジュールで、直線と正円だけで構成される形状は、シンプルでとにかく便利で、収まりも美しい。

高さ55ミリのボールは、茶杯・湯呑みとしてちょうどいいサイズ。艶のあるgloss grayは手にピタッと吸い付くようで非常に使いやすい。もちろんスタッキングができるので収納場所を選びません。

タンブラーには、茶さじ・温度計・茶こしをまとめて収めています。

急須よりも大容量のお茶を淹れることができるティーポットも便利。容量は500mlで、中のメッシュもかなり細かいので茶葉も注ぎ出ることはありません。なによりφ85mmというサイズが場所をとらなくていい!
こうして改めて並べてみると、どの道具にも作り手や開発者の想いが宿っていることに気づかされます。
茶器をちゃんと収納したい
そして、これらの茶器をちゃんと収納できるものがほしくなってきました。

大切に仕舞い、必要であれば持ち運べる。お茶を淹れるたびにひとつずつ取り出し、また丁寧に戻す。
その所作の中に、自分らしい「お茶の風景」を整えていけたらと考えています。
箱にするか、布で包む形にするか──
そんなことを考える時間もまた、楽しみのひとつかもしれません。


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