僕は昔から腕時計をする習慣があります。いまは大体Apple Watchをつけていますが、以前はいくつかの時計をその日の気分に合わせてつけていました。
中でも、特に思い入れのあるのは、1961年製の古いIWC。俗に言うオールドインター。これが非常に素晴らしいのです。
Cal.89という手巻き機構
所有しているオールドインターのムーブメントは、『Cal.89』。1946年から1970年代半ばごろまで製造されたIWCの名機と呼ばれる手巻きの機構です。非常に長い期間製造されていたことが、この機構の完成度の高さを物語っています。
この『Cal.89』というのは、IWCの自動巻き「ペラトン式自動巻き」を開発した【アルバート・ペラトン】という設計者が設計したキャリバーです。この「ペラトン式自動巻き」というのは、巻き上げ効率が非常に高い、両方向巻き上げ機構を要していますが、ここでは割愛します。
そんなIWCの設計、そして時計業界に大きな影響を与えた【アルバート・ペラトン】が設計した代表作が『Cal.89』なのです。

『Cal.89』の特徴は、「仕上げの良さ」と「メンテナンス作業のしやすい機構」。
この仕上げを今、現在を行うとするならば、数百万レベルの時計になるとも言われます。それでいて、機構自体はシンプルでメンテナンスしやすいとのこと。だからこそ、長い期間製造され、IWCを支えてきたのだと思います。

東京の森下にあるケアーズさんにて2013年に購入しました。当時、結構探してたどり着いた時計でした。
今でもたまに時計屋さんのサイトをチェックしてますが、2013年当時と比較するとなかなか上物が出てこないし、値段も高騰している印象です。
徹底してミニマル
僕が所有しているこのオールドインターの素晴らしいところ。
見た目も機能もとにかくミニマルであること。円のフェイスと直線のラグを組み合わせたカタチ。

(正面視で)直線のラグはなかなかなく、ここまでミニマルに見える時計は珍しいかと。
【IWC】のロゴもなく、IWCInternational Watch Coと筆記体のロゴタイプのみ。cal89による手巻きのムーブメント。日付もなし。

当時のIWCには、『インジュニア』や『ヨットクラブ』などモデル名がある時計もありますが、この時計には特にモデル名がありません。『ラウンド』とかいわれることが多いですが、この「モデル名すらない」ことが、個人的には愛着がより増すポイントでもあります。
使用する時は、その日の朝にヒューズを巻くという儀式?をすることで、なんというか時間の大切さみたいなものを感じるし、巻いている自分、かっこいい。

僕の貧弱な腕にはちょうどいいフェイス径と厚み。そして、年を重ねるほど似合うであろう(似合っていたい)品の良さ。

普段、Apple Watchを使用していると、iPhoneの通知やちょっとした遠隔操作、アクティビティ情報など、とにかく機能的で便利。それがアタリマエとなっていますが、やはりこのような手巻きの時計の良さもありますよね。
効率性、利便性ばかりに目が行きがちな時代だからこそ、アナログとデジタルの両方の良さを感じ、これからも気分とTPOに合わせて時計を楽しみたいと思います。


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